農商省(読み)のうしょうしょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「農商省」の意味・わかりやすい解説

農商省
のうしょうしょう

太平洋戦争下の農林商工行政の中央官庁。1943年(昭和18)設置。戦時統制経済の強化のため商工省の軍需生産関係部門が統合されて軍需省が新設され、軽工業・民需生産関係部門と農林省が統合されて農商省が設置された。機構は、大臣官房ほか、総務農政山林水産、繊維、生活物資物価の七局と、外局として馬政局、食糧管理局が置かれた。食糧危機と物資の需給調整に対処したが、第二次世界大戦の激化による軍需物資優先の原則のため、所期の目的をほとんど果たすことができなかった。敗戦後、軍需省が廃止となり、ふたたび農林省、商工省が復活し、農商省は廃止となった。

[森 武麿]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の農商省の言及

【商工省】より

…39年戦争の長期化にともない機構は全面的に改変され,それまでの商・工・鉱の業種別部局課編成から物資別の機構となり,官房のほか総務,鉱産,製鉄,化学,機械,繊維,管理の7内局,1部,4外局となった。41年の再改編後43年軍需省が設置されるや,商工省は解体され,鉱・工部門は軍需省の,商務および軽工業関係は農商省の所管となった。第2次大戦終結とともに商工省は復活したが,49年貿易庁と併せて通商産業省となった。…

【農林水産省】より

…略称,農水省。1881年の農商務省の設置以来の歴史をもち,1925年農林省,商工省に分離され,43年に再統合されて農商省となったが,45年再分離されて農林省となり,78年,200カイリ時代の到来に対応して農林水産省と名称を改めて現在に至っている。 その内部組織も,歴史的には一般農政,林野,水産,畜産,蚕糸,農地,食糧などに分かれ,種々の変遷を経てきているが,とくに第2次世界大戦後の経過では,1948年に水産庁,49年に食糧庁,林野庁と,まとまりのある三つの行政分野において外局制度がとられるに至り,また,72年に本省内部部局の改革が行われ,従来の農地局,農政局,蚕糸園芸局が再編成され,構造政策,生産政策,流通政策の三本柱に対応して構造改善局,農蚕園芸局,食品流通局が設けられた。…

※「農商省」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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