食糧危機(読み)しょくりょうきき(英語表記)food crisis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

同種類の動物群が手に入れることのできる食物が,その動物群総体を生存させるのに必要な量を満たさないほどに減少した状態を食糧危機という。動物の個体数はその行動範囲内に存在する可食物の量によって規制される。食物の量は常に一定ではなく,季節や天候によって変更する。食糧危機の結果として,同種類の動物群全体が飢餓状態に陥り,それが長引くと群中の弱者が脱落し個体数は減少していく。人間社会の食糧危機も基本的には同じ構造であるが,可食物を入手するシステムがより複雑である。世界の人口増加に食糧生産が追いつかないために生じるという考え方もあるが,むしろ現実的に発生する可能性のある要因としては,気候の変動によって世界的に可食物の収量が減少するという考え方が有力である。可食物の収量が減少すると,国家や家族などの集団ごとに延命をはかる動きが強まってくる。その結果,食糧の移動や輸出が停滞する。食糧危機は人類全体に平等に現れてくるのではなく,自給率の低い地域ほど早く発生する。食糧生産が量的に不足しているアフリカなどではすでに食糧危機は発生し進行している。日本などは食糧自給率が低いにもかかわらず,近代的流通機構・輸入などによって補っている。

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