化学辞典 第2版 「近接場光学顕微鏡」の解説
近接場光学顕微鏡
キンセツバコウガクケンビキョウ
near-field optical microscope
物質に光を照射すると,透過・吸収・反射・散乱が起こると同時に,近接場光(エバネッセント光)が生じる.近接場光は発生点から遠ざかると指数関数的に減衰する(非伝搬性)ため,遠方からは観察できないが,試料表面に微小プローブを近づけて相互作用させると,近接場光の一部は散乱され伝搬性となるために観察可能となる.分解能はプローブの大きさに左右されるが,通常の光学顕微鏡のように,光の回折限界(波長の約1/2)による制限がないので,100 nm 以下の空間分解能が達成できる.走査型近接場光学顕微鏡(scanning near-field optical microscope)では,プローブ先端を試料に約10 nm まで接近させるために,原子間力顕微鏡の原理が応用されている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報