指数
しすう
index number
ある特定データ系列の変動の把握、同種の複数データ系列間の変化の比較、あるいは多数の要素から構成される一群の対象の動きを総合的に理解することなどを目的に、ある基準値と容易に比較可能なように作成された統計値のこと。どの指数にも基準値のあることは共通であるが、その対象と目的に応じて指数の作成方式には種々のものがある。ある特定データ系列の変動や同種の複数データ系列間の動きをみるためには、個々のデータ系列について、特定観測値(時系列データの場合には特定時点のデータ、横断面データの場合には特定内容のデータ)を基準値として、通常100と置き換え、それに従って他の観測値を比例計算で算定し直すことにより、指数系列を作成する。このようにして作成されたものは単純指数とよばれ、個々の製品の生産動向の調査や国民所得の伸びの国際比較など、広い範囲にわたって作成、利用される。これに対して、多数の要素から構成される対象の動きを全体的に把握するために、個々の要素の観測データを総合して作成される指数は、総合指数とよばれる。これには景気動向指数のように個々の単純指数の変動方向を単に割合として作成されるものもあるが、一般には、個々の構成要素が対象全体のなかに占める重要性を考慮するためのウェイト(加重)を用いて算定される。そのもっとも代表的なものとしては、物価指数、生産指数、貿易指数などがある。その算式も、ウェイトの採用の仕方によって、ラスパイレス算式、パーシェ算式、エッジワース算式の相違があり、さらに前の二算式を混合して作成するものとしてフィッシャーの算式がある。
[高島 忠]
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し‐すう【指数】
〘名〙
①
数学で、累乗を表わすために、数字または文字の右肩につける小さな数字または文字。〔数学ニ用ヰル辞ノ英和対訳字書(1889)〕
② ある抽象的な事柄の程度を、数の大小によって示すために、何らかの方式により表わした
数値。
※一年有半(1901)〈中江兆民〉附録「ホイ駕籠が馬車に変じ、猪牙船が小蒸汽に変じ、其他斯くの如きもの指数に勝へざるが如くにして」
③
物価や
賃金などの年ごと、または月ごとの変動の模様をわかりやすく示すために、ある年またはある月のそれを一〇〇として表わした数字。
※東京朝日新聞‐明治四一年(1908)一二月三一日「本年一月の平均指数一三〇なりしもの、十一月に至りて一二二に落ち」
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指数【しすう】
(1)べき指数。aのべきa(n/)で掛け合わせる回数nをいう。nは負数,実数,複素数の場合まで拡張でき,一般にa(m/)a(n/)=a(m/)(+/)(n/),(a(m/))(n/)=a(m/)(n/),(ab)(n/)=a(n/)b(n/)が成り立つ(指数法則)。→指数関数/対数(2)統計用語。同種類,同性質の数量の大小や時間的変化を明らかにするため,ある基準量を100とし他の量をそれに対する比率として表したもの。不快指数,物価指数など。
→関連項目常用対数|べき(冪/羃)
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指数
しすう
index
インデックス。何らかの基準数値に基づいた比率値のことをいう。物価指数,知能指数,生産指数,株価指数などさまざまなものがある。指数が用いられるのは,ある状態を表すデータの相対的な大きさをデータ値そのもので示すよりも,平均的な値,ある時点の値などの特定の値を基準として,その値との比率で示したほうが分かりやすい場合である。
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デジタル大辞泉
「指数」の意味・読み・例文・類語
し‐すう【指数】
1 ある数・文字の右肩に記して、それを何度掛け合わせるかを示す数字・文字。anのnをいう。
2 統計で、物価・賃金・生産高など同種のものの時間的変動を示す数値。基準となる時点の値を100とし、百分比によって表す。
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指数
浮動小数点表示において、基数にべき乗する値。数値を(仮数)×(基数)指数のように表現する。たとえば、2進数の101は「0.101×23」のように表され、「3」は指数となる。
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しすう【指数】
(1)数学の分野で種々の異なった意味で用いられる。正数aをとり,そのx乗axを考えるとき,xのことをべき指数power exponent,または単に指数exponentと呼ぶ。代数学の分野では,例えば群Gの部分群Hがあるとき,その左または右剰余類の個数をHの指数indexという。また積分作用素の同一固有値に対応する一次独立な固有関数も指数と呼ばれる。多様体には位相不変量としての指数がある。【飛田 武幸】(2)統計用語としては,ある状態から他の状態へ移ったときの数量の相対的増減を測定するための指標を指数indexあるいはindex numberといい,通常それはある一つの選ばれた状態の数量に対するそれと比較されるべき状態の数量の比率に100を乗じたものとして定義される。
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普及版 字通
「指数」の読み・字形・画数・意味
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世界大百科事典内の指数の言及
【群】より
… 方程式が代数的に解けるための条件は,ガロア群がこの性質をもつことであるという理由で,このように名づけられたのである。
[指数と位数]
Hが群Gの部分群であるとき,互いに異なる右剰余類Haの数(無限の場合も考える)をHのGにおける指数という。[G:H],(G/H)などで表される。…
【整数論】より
… rがpの一つの原始根であれば,1,r,r2,……,rp-2は,どの二つも互いに合同でなく,これらが既約剰余類の代表系を与え,したがってpと互いに素な整数aに対して, a≡rα (mod p) (0≦α<p-1) を満たす整数αがただ一つだけ定まる。このことをrを底とするaの指数といい,Indr(a)で表す。p=11のとき,rとして2をとると,Indr(a)は次の表のようになる。…
【統計】より
…
[加工統計]
統計調査の結果から,いろいろな加工データが作られる。その一つは指数であり,生産指数,物価指数などが計算されている。また多くの経済データを統合して国民経済全体の動きをまとめたものに国民経済計算体系があり,経済企画庁で毎年計算,公表している(〈国民経済計算〉の項参照)。…
【モース理論】より
…ふつうにはこのとき,標高aの等高線f-1(a)と標高bのそれf-1(b)とは,aとbとの間にfの極値,すなわち山頂,谷,鞍点がまったく現れなければ,位相的には同じ形をしており,また逆に,極値が現れて,形が崩れる場合は,崩れ方が極値の状態(それが山であったか谷か鞍か)によって支配されていることもわかる。この事実を一般の微分可能多様体Xと,その上の微分可能な関数fに対して拡張したものがモースの指数定理であり,モースの理論の骨子をなすものである。すなわち,非退化なfの極値を,0からXの次元までの整数(これを指数という)によって分類し,各指数の極値が現れるときの等高線f-1(a)の形の崩れ方を,位相幾何学的な方法によって表現したものが,指数定理にほかならない。…
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