返返(読み)かえすがえす

精選版 日本国語大辞典 「返返」の意味・読み・例文・類語

かえす‐がえす かへすがへす【返返】

〘副〙 (「かえす(返)」の終止形を重ねたもの。「も」を伴うことが多い。古くは「かえすかえす」) 動作、作用が繰り返し行なわれるさまを表わす。
① 繰り返し繰り返し。なん度も。再三再四。
※続日本紀‐天平宝字元年(757)七月二日・宣命「私(ひそか)に兵を備ふと聞し看して、加遍加遍(カヘスカヘス)念ほせども」
源氏(1001‐14頃)総角「親のいさめし言の葉も、かへすかへす思ひ出でられ給ひて悲しければ」
② どう考えても。なん度考えても。くれぐれも。よくよく。
※竹取(9C末‐10C初)「侍らで過ぎ別れぬる事、かへすかへすほいなくこそ覚え侍れ」
※思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉六「斯る軽挙に出づるはかへすがへすも残念な話」
③ ひとえに。ひじょうに。じゅうじゅう。
古今(905‐914)恋一・五一五「唐衣日もゆふぐれになる時は返す返すぞ人はこひしき〈よみ人しらず〉」
※苔の衣(1271頃)四「すみよしへ忍びていひやりたるに、かへすかへすよろこびつつ、〈略〉とかきたるを」
④ 念には念を入れて。ねんごろに。ていねいに。
十六夜日記(1279‐82頃)「みづぐきの岡の葛葉、かへすがへすも、書きおく跡たしかなれども」

かえる‐がえる かへるがへる【返返】

〘副〙
① 繰り返し繰り返し。再三再四。
※後撰(951‐953頃)恋四・七九九「みるもなくめもなき海のいそにいでてかへるかへるも怨つる哉〈紀友則〉」
② どう考えても。
※古今(905‐914)雑上・九〇二「しらゆきの八重ふりしけるかへる山かへるかへるも老いにけるかな〈在原棟梁〉」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android