日本大百科全書(ニッポニカ) 「造像銘」の意味・わかりやすい解説
造像銘
ぞうぞうめい
彫像の制作に際して像身や付属するもの(光背(こうはい)、台座など)の一部に造立の由来、願文、発願者、檀那(だんな)(スポンサー)、結縁(けちえん)者、銘の執筆者、仏師の名、年紀などを記したもの。造像の直接的な資料として重要である。その形式はさまざまで、造像経過の詳細や経文などまで記すものもあれば、ごく簡単に年紀だけの場合もある。記入の場所は像の材質により異なり、金属像や石像では仏身や光背の裏、台座などの外面に陰刻もしくは陽刻する。木像では胎内内刳(うちぐり)部の表面、台座内部(蓮弁(れんべん)裏などの場合もある)、光背裏、足枘(あしほぞ)などに墨書、朱書することが多い。また胎内などに納めた木札や願文、経巻、紙片などに記した場合もある。日本最古の造像銘は法隆寺金堂の釈迦(しゃか)三尊像(632年銘)、あるいは旧法隆寺四十八体仏中の丙寅(へいいん)年(606)銘菩薩半跏(ぼさつはんか)像(東京国立博物館)と思われる。
[佐藤昭夫]