檀那(読み)ダンナ

デジタル大辞泉 「檀那」の意味・読み・例文・類語

だんな【×檀那/旦那】

《〈梵〉dānaの音写》
ほどこし。布施。転じて、布施をする人。檀越だんおつ。檀家。
商家の奉公人などが男の主人を敬っていう語。「店の大―」
商人が男の得意客を、また役者や芸人が自分のひいき筋を敬っていう語。また一般に、金持ちや身分のある男性を敬っていう。「―、これはよい品でございますよ」「顔見世に―衆を招く」
妻が夫をいう語。他家の夫をいう場合もある。「お宅の―」
めかけの主人。パトロン。「―がつく」「―を取る」
[類語](1檀家檀徒門徒/(4主人亭主ハズバンドハズ夫君内の人宿六良人旦つく先夫前夫亡夫男鰥おとこやもめ寡夫

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精選版 日本国語大辞典 「檀那」の意味・読み・例文・類語

だんな【檀那・旦那】

  1. 〘 名詞 〙 ( [梵語] dāna の音訳 )
  2. 仏語。六波羅蜜の一つ。施し。布施。
    1. [初出の実例]「夫仏有五智。因業各異。所謂、阿哩也囉多曩納婆嚩多他掲哆。即是檀那之報徳也」(出典:性霊集‐八(1079)為弟子僧真体設亡妹七々斉并奉入伝燈田願文)
    2. [その他の文献]〔法苑珠林‐一一〕
  3. ( [梵語] dāna pati の音訳、「檀那波底」の略 ) 檀越(だんおつ)のこと。施主。檀家。
    1. [初出の実例]「欲供養時、雷電霹靂、雷破壊塔。各々分散摧折而去。檀那懐歎悲泣無限」(出典:大日本国法華経験記(1040‐44)下)
    2. [その他の文献]〔祖庭事苑‐五・懐禅師前録〕
  4. 中世社寺の参詣宿泊者をいう。先達神官、僧が引導し、参拝の行路、宿泊施設などの案内をした。また、地方の武家その他の同名字の人々が大勢で一定の先達・御師(おし)を定めて代々参拝宿泊するようになると、この契約関係は一種の職権財産となって売買譲与の対象となり、この職権をさしていうこともある。引檀那。道者。檀那職。
    1. [初出の実例]「ながくゆづりわたすたんなの事」(出典:米良文書‐弘安一〇年(1287)一〇月二九日・旦那譲状)
  5. 家人(けにん)使用人などが、その主人を敬っていう語。
    1. [初出の実例]「某は、長刀遣ひを檀那に持て居るに依て」(出典:虎寛本狂言・鈍太郎(室町末‐近世初))
  6. 商人などが自分の店の客を、また役者・芸人などが自分のひいき筋を敬っていう語。一般にへりくだって呼びかけるときにもいう。
    1. [初出の実例]「京の太夫より、我れ、声増したるほどに、旦那多ふかろうと、云たる人也」(出典:四座役者目録(1646‐53)上)
  7. 妻が、自分の夫を敬っていう語。また、他家の主人を敬っていうのにも用いる。現代では敬意を伴わないで用いられる。
    1. [初出の実例]「後の世を願ふ仏の道も、旦那(ダンナ)殿と一所の法花になり」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)五)
  8. 妾や芸者などが、自分のせわをしてくれる男を敬っていう語。また、妾や芸者のせわをしている男の称。
    1. [初出の実例]「旦那来る・日と附込んで小間物屋」(出典:雑俳・歌羅衣(1834‐44)七)
  9. 婢女などがその仕える奥女中を敬って用いる語。
    1. [初出の実例]「旦那はせいろうお次へははりかた」(出典:雑俳・末摘花(1776‐1801)四)
  10. だんなりゅう(檀那流)」の略。
    1. [初出の実例]「みづのみと云ふ所にて檀那の僧都覚運と云ふ人に行合ひて」(出典:神宮文庫本発心集(1216頃か)五)

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改訂新版 世界大百科事典 「檀那」の意味・わかりやすい解説

檀那 (だんな)

サンスクリットdānaの音訳で,布施の意。梵語と漢語を合わせて檀施とも記す。また布施する人を意味する檀越dāna-patiと混用され,寺院僧尼衣食住を施与する信者を,僧の方から檀那,檀越(だんおつ)という。中国には檀家制度がなく,寺院が特定の檀越に支えられることは少なかったが,貴族豪民には一家菩提寺を建てて,寺院に与えられた特権を横取りしたり,寺院の質庫に財産を寄託して殖産をはかるものもあった。
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百科事典マイペディア 「檀那」の意味・わかりやすい解説

檀那【だんな】

サンスクリットのダーナの音写。布施(ふせ)と訳す。在家の修行徳目の重要な一つで,六波羅蜜の第1位。転じて檀越(だんおつ)の意味に混用される。
→関連項目御師

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「檀那」の意味・わかりやすい解説

檀那
だんな

サンスクリット語 dānaの音写で施すことを意味し,六波羅蜜の一つである。中国や日本では dānapatiの音写である檀越の略語として施主の意味で用いられる。ここから施す人である経済的な援護者をさし,さらに富裕な家の主人も意味するようになった。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「檀那」の解説

檀那
だんな

サンスクリットのダーナの音訳で,施し・布施を意味する。施主の意から転じて,寺院や僧侶に寄進する後援者を意味する檀越(だんおつ)・檀家と同義に用いられるようになった。寄進をうける寺を檀那寺という。保護者や恩恵を与える者の意から,夫や主人に対する敬称に転じ旦那とも書いた。

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普及版 字通 「檀那」の読み・字形・画数・意味

【檀那】だんな

布施する人。

字通「檀」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の檀那の言及

【布施】より

…サンスクリットdānaの訳で,音訳は檀那である。両語を合わせて檀施ということがあり,布施する者を檀那檀越(だんおつ),檀家ということもある。…

※「檀那」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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