造血器腫瘍治療とその補助療法

内科学 第10版 の解説

造血器腫瘍治療とその補助療法(造血器腫瘍の発症機構と治療)

 造血器腫瘍では,造血細胞の腫瘍化のため造血能が障害され,正常な白血球,赤血球,血小板の3系統に悪影響を及ぼす.さらにその治療に使用される化学療法や放射線照射は造血障害をさらに助長する.すなわち,貧血,白血球,特に好中球減少に伴う感染症,血小板減少による出血をきたす危険が高く,とりわけ後2者は致死的になる可能性があり,緊急事態として対応が必要である.また,治療により腫瘍が急速に崩壊して代謝障害をきたし,死に至ることがある(腫瘍崩壊症候群).これら合併症に対する予防的措置や治療(支持療法)は,造血器腫瘍に対する治療の成否をにぎっている.[田村和夫]
■文献
Coiffier B, Altman A, et al: Guidelines for the management of pediatric and adult tumor lysis syndrome: an evidence-based review. J Clin Oncol, 26: 2767-2778, 2008.
日本癌治療学会編:制吐薬適正使用ガイドライン,第1版,金原出版,東京
2010.日本臨床腫瘍学会編:発熱性好中球減少症FN診療ガイドライン南江堂,東京,2012.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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