道(地域区分)(読み)どう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「道(地域区分)」の意味・わかりやすい解説

道(地域区分)
どう

旧中国の地域区分。漢代の道はもっとも小さく、県の特別なもの、住民に蛮夷(ばんい)の多い場合の名であった。唐代の道はもっとも大きく、初め天下を10道、のちに15道に分けて監督の区分とし、採訪使を置いて官吏の非法を検察せしめたが、これは道を支配する行政長官ではなかった。明(みん)・清(しん)代の道は唐代のものより小さく、省の下の監督区分であり、駅塩道のように一省にわたるもの、分守道・分巡道のように数府州を監督するものがあった。明代は省の官が道の監督官を兼ねたが、清代には専任の道員が置かれた。中華民国の初めには、省と県の中間に道を置き、道尹(どういん)を任命したが、まもなく廃止した。なお、日本でも古代に道制が採用され、五畿七道(ごきしちどう)ともよばれ、東海道、山陽道などの名はいまでも用いられている。朝鮮では道数に変遷はあるが、高麗(こうらい)、李(り)氏朝鮮で行われ、現在まで続いている。

宮崎市定

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