遠州流(いけ花)(読み)えんしゅうりゅう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「遠州流(いけ花)」の意味・わかりやすい解説

遠州流(いけ花)
えんしゅうりゅう

江戸時代に創流されたいけ花流派の一つ。遠州流の祖は『瓶花群載(へいかぐんさい)』(1770)に載っている春秋軒一葉(しゅんじゅうけんいちよう)があげられているが、遠州流の明記はなく、彼の伝書『生花正伝記(いけばなしょうでんき)』(1776)に「織部公より遠州公伝りたまひて」とあるところから祖とするも、小堀遠州との関係は確かでない。今日の遠州流は本松斎一得(ほんしょうさいいっとく)の通称浅草遠州と春艸庵一枝(しゅんそうあんいっし)の下町遠州からの分流で、これからさらに分派した遠州流をひっくるめ総括的に遠州流とよぶ。

 江戸生花(せいか)流派として形体が円球形をとり、流麗な枝のつくる曲線が、江戸の粋(いき)に通うものがあり、もてはやされた。

[北條明直]

『今井一甫著『遠州流挿花』(2002・文芸社)』

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