日本大百科全書(ニッポニカ) 「遠洋魚類」の意味・わかりやすい解説
遠洋魚類
えんようぎょるい
pelagic fish
沿岸から遠く離れた水域で漁獲される魚。つまり、公海または漁業協定を結んでいる外国の200海里(約370キロメートル)内の水域で操業する遠洋漁業の対象魚をいう。一方、生態によって分けるときは沿岸魚に対する語として使われるが、距離的にはあいまいである。代表的な魚類は次のとおり。北太平洋でのサケ・マス類。南太平洋の各水域でのカツオ。世界の熱帯水域を中心とする水域でのミナミマグロ、メバチなどのマグロ類、カジキ類、サメ類。北太平洋のロシア連邦水域でのスケトウダラ、ホッケ類。アメリカ水域でのスケトウダラ、マダラ、メヌケ類、カレイ・ヒラメ類、ニシン。カナダ水域でのヘイク類、ニギス類。中国および朝鮮水域でのアジ類、サバ類、タイ類。ニュージーランド水域でのアジ類、メルルーサ、ホキ、キングクリップ(リング)、ミナミダラ。チリ水域でのメルルーサ、アジ類、タイ類など。冷凍にされて、切り身で販売されているものが多い。日本の遠洋魚類の漁獲量は1973年(昭和48)ごろに最高に達したが、1982年に主要国が200海里漁業水域を設定して外国漁船を締め出したり、操業の条件を厳しくしたりしたため、その後日本の漁獲量は年々減少し、一方で、輸入量は増えている。
[落合 明・尼岡邦夫 2015年3月19日]