遺愛寺(読み)イアイジ

デジタル大辞泉 「遺愛寺」の意味・読み・例文・類語

いあい‐じ〔ヰアイ‐〕【遺愛寺】

中国江西省の廬山ろざんにあった寺。白居易の詩「遺愛寺の鐘は枕をそばたてて聴き、香炉峰の雪はすだれかかげてる」で有名。

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精選版 日本国語大辞典 「遺愛寺」の意味・読み・例文・類語

いあい‐じヰアイ‥【遺愛寺】

  1. 中国の江西省九江県盧山(ろざん)の香炉峰の北方にあった寺。白居易の「遺愛寺鐘欹枕聴、香炉峰雪撥簾看」の詩で知られる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「遺愛寺」の意味・わかりやすい解説

遺愛寺
いあいじ

中国江西(こうせい/チヤンシー)省の廬山(ろざん/ルーシャン)にあった寺。廬山は慧遠(えおん)(334―416)が東林寺を拠点として念仏結社白蓮社(びゃくれんしゃ)を営んだ仏教の聖地であるが、遺愛寺も慧遠の草創にかかると伝える。唐代末に廃され、明(みん)の成化(せいか)年間(1465~1487)には僧慈釗(じりゅう)が紫雲庵(しうんあん)を寺趾(じし)に建立して復興したと伝えるが、これも現存しない。遺愛寺と廬山北峰の香炉峰(こうろほう)との間の景観は名勝とされ、韋応物(いおうぶつ)や白楽天(はくらくてん)(白居易(はくきょい))などの文人が遊んだ。とくに白楽天はこの地に草堂を結んで、流謫(るたく)の心をいやし、「遺愛寺の鐘は枕(まくら)を敧(かたむ)けて聴き、香炉峰の雪は簾(すだれ)を撥(はら)いて看(み)る」と詠んだ。清少納言(せいしょうなごん)の『枕草子(まくらのそうし)』第299段の話はこの詩を下敷きにしている。

[里道徳雄]

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