遺愛寺(読み)イアイジ

大辞林 第三版の解説

いあいじ【遺愛寺】

中国江西省廬山ろざん香炉峰の北方にある寺。白居易の詩句「遺愛寺の鐘は枕を攲そばだてて聴き、香炉峰の雪は簾すだれを撥かかげて看る」で知られる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

遺愛寺
いあいじ

中国江西(こうせい/チヤンシー)省の廬山(ろざん/ルーシャン)にあった寺。廬山は慧遠(えおん)(334―416)が東林寺を拠点として念仏結社白蓮社(びゃくれんしゃ)を営んだ仏教の聖地であるが、遺愛寺も慧遠の草創にかかると伝える。唐代末に廃され、明(みん)の成化(せいか)年間(1465~1487)には僧慈(じりゅう)が紫雲庵(しうんあん)を寺趾(じし)に建立して復興したと伝えるが、これも現存しない。遺愛寺と廬山北峰の香炉峰(こうろほう)との間の景観は名勝とされ、韋応物(いおうぶつ)や白楽天(はくらくてん)(白居易(はくきょい))などの文人が遊んだ。とくに白楽天はこの地に草堂を結んで、流謫(るたく)の心をいやし、「遺愛寺の鐘は枕(まくら)(かたむ)けて聴き、香炉峰の雪は簾(すだれ)を撥(はら)いて看(み)る」と詠んだ。清少納言(せいしょうなごん)の『枕草子(まくらのそうし)』第299段の話はこの詩を下敷きにしている。[里道徳雄]

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