白楽天(読み)はくらくてん

世界大百科事典 第2版の解説

はくらくてん【白楽天】

能の曲名。脇能物。神物。作者不明。シテは住吉明神の神霊。唐の白楽天(ワキ)が,日本の知力を試せという勅命を受けて渡来し,筑紫の海上で小舟に乗って釣りをする老人(前ジテ)に出会う。楽天は,老人が自分の名も渡来の目的も知っているのにまず驚く。楽天が目の前の景色を詩に作って見せると,老人がそれを即座に和歌に翻訳したので,ますます驚く。そこで老人は,日本では鶯や蛙まで歌を詠むのだと教える(〈クセ〉)。この漁翁は実は住吉明神の仮の姿で,やがて気高い老体の神姿(後ジテ)を現し,荘厳な舞を見せ(〈真ノ序ノ舞〉),多くの日本の神々とともに神風を起こして,楽天を唐土に吹き戻す(〈中ノリ地〉)。

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世界大百科事典内の白楽天の言及

【白居易】より

…太原(山西省)の人。字により,白楽天とよばれることが多い。家は貧しかったが勉学にはげみ,科挙及第ののち803年(貞元19)に任官した。…

【琵琶】より

…また起源をさかのぼってペルシアの古楽器バルバットやビバットに関連づける説もある。
[中国,ベトナム,朝鮮]
 すでに唐代の中国で前記3種の広義の琵琶が形を整え(その流行は白楽天の詩《琵琶行》などで裏付けられる),それらが周辺諸国に伝えられた。奈良の正倉院に保存されている4弦の曲頸琵琶と5弦の直頸琵琶がそのなごりである。…

【和漢朗詠集】より

…そうした秀句の摘句選集は,中国に先蹤があるが,日本でも大江維時撰《千載佳句》などが編まれている。本書もそうした選集の一つで,白楽天を尊重し多くの詩句を採るが,ほかに菅原道真,菅原文時など日本人の漢文学作品からも摘句し,さらに《拾遺和歌集》をはじめ,三代集その他から選んだ和歌を並列させている点が特徴的である。構成は上巻に四季,下巻に雑部を置き,各巻を細目に部類して,部類ごとに同趣の詩句と和歌を配する。…

※「白楽天」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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