那智川(読み)なちがわ

日本歴史地名大系 「那智川」の解説

那智川
なちがわ

那智諸山の水を集め南流、市野々いちのの井関いせき川関かわせきを経て、天満てんま東南で那智湾に注ぐ。全長一二キロ余。上流那智山内には那智大滝をはじめとする四十八滝がある。「中右記」天仁二年(一一〇九)一〇月二七日条に「過那智鳥居政所、渡小川数度、参一野王子社奉幣」とみえる小川は、この那智川をさすと思われる。また応永三四年(一四二七)の住心院僧正実意の「熊野詣日記」一〇月一日条には「橋本にてはしめたる御方々々川(垢離)めさる」とみえ、那智に参詣する熊野道者は市野々の二瀬にのせ橋付近で水垢離をとったことが知られる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の那智川の言及

【那智滝】より

…3本になって落下することから〈三筋の滝〉とも呼ばれ,滝のしぶきにふれると延命長寿の効験があると信じられてきた。滝の水は那智川となって熊野灘に注ぐ。 熊野三山の一つとしての那智山の信仰は,この滝を神聖視することに始まるといわれ,古くから滝修行が行われてきた。…

※「那智川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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