国指定史跡ガイド 「野谷石風呂」の解説
のたにのいしぶろ【野谷石風呂】
山口県山口市徳地野谷にある浴場跡。佐波川の支流四古谷(しこたに)川の南岸にある。1186年(文治2)ごろ、東大寺大勧進であった俊乗房重源(しゅんじょうぼうちょうげん)が東大寺再建の役割を担い、佐波郡の山中から多くの建築用材を奈良に送った。石風呂は石を焼いて水を注ぎ、その湯気にあたる蒸し風呂で、重源が用材の伐り出しや運搬などの作業に従事する人たちの病気やけがの治療のために設けたもの。当時は佐波川沿いに多数あったとされるが、野谷のものは四古谷川の巨岩に高さ1.1m、幅1.9m、奥行き2.5mの横穴をうがち、高さ0.9m、幅0.6mほどの長方形の出入り口を設けている。1935年(昭和10)に国の史跡に指定された。JR山陽本線防府駅から防長バス「愛鳥林入口」下車、徒歩約2分。