量子もつれ(読み)りょうしもつれ(英語表記)quantum entanglement

日本大百科全書(ニッポニカ)「量子もつれ」の解説

量子もつれ
りょうしもつれ
quantum entanglement

量子多体系において、2個以上の量子が古典力学では説明できない相関をもつこと、また、それにかかわる現象をいう。量子エンタングルメントともよぶ。アインシュタイン‐ポドルスキー‐ローゼンのパラドックス(EPRパラドックス)で提起された以下の問題から考察された。EPRパラドックスは、一つの粒子が反対方向のスピンをもつ二つの粒子Aと粒子Bに分裂した場合を考え、それらが十分離れたところで片側の粒子Aのスピンの向きを測定すると、測定していないほうの粒子Bのスピンの状態が粒子Aのスピンの状態の測定と同時に判明する(量子力学の予測)。そしてこのことは情報が瞬時に(超光速で)伝達されることを意味し、特殊相対性理論に反する、というものである。しかし、上述の実験を精密に行った結果、超光速で情報を伝達しているわけではないが、量子力学の予測どおりの結果になり、複数の量子が関係する系では古典力学では説明できない相関、つまり量子もつれがあることが判明した。この相関現象を用い、量子情報科学では量子暗号量子コンピュータの研究が進展している。

[山本将史 2022年7月21日]

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知恵蔵「量子もつれ」の解説

量子もつれ

量子世界では、それぞれの粒子で状態が重なり合うだけでなく、複数の粒子がセットで状態の重なりをつくることがある。このような連携をいう。もつれ合いが離れた粒子の間で保たれると、量子力学の特徴である非局所性が現れる。量子情報科学では重要な役割を果たす。

(尾関章 朝日新聞記者 / 2007年)

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