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特殊相対性理論 とくしゅそうたいせいりろんspecial theory of relativity

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

特殊相対性理論
とくしゅそうたいせいりろん
special theory of relativity

すべての慣性系において,物理法則は同形でなければならないという特殊相対性原理と,光の速さは一定であるという光速度不変の原理とに基づいた相対性理論。 1905年 A.アインシュタインが提唱した。この理論から,時間と空間が互いに関連し合って1つの四次元時空間を形成すること,同時刻は相対的で座標系 (観測者) ごとに異なること,観測者に対し動いている物体の長さや時計の進度は静止しているときに比べてそれぞれ縮んだり遅れたりすること,動いている物体の質量は静止しているときより増大すること,質量はエネルギーの1種であること (質量とエネルギーの等価性) ,などが導かれ,実験的にも確認された。基本的概念を一新するこの理論の出現は,物理学のみならず,哲学にも重大な変革をもたらした。光の速度に近い高速度で動く粒子の運動に対してニュートン力学は相対論的力学に修正され,シンクロトロンなど高速の粒子加速器の設計・動作においてその正しさが実証されている。特殊相対性理論は,1900年に誕生した量子論とともに現代物理学の基礎をなしている。高速粒子やエネルギー変化の大きい現象を扱う理論は特殊相対性理論を満足するようにつくられている。また特殊相対性理論を拡張して万有引力をも含むようにしたのが一般相対性理論である。

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知恵蔵の解説

特殊相対性理論

速度一定の通過電車とプラットホームに立つ人など、互いに等速直線運動する座標系(慣性系)の間では、物理法則を同じ形の数式で表せる、とする理論体系。光の速さはどの慣性系からみても同じという、光速不変の原理を組み込んでいる。慣性系同士で光速cが一定になるような座標変換がローレンツ変換。これによって観測者からは別の慣性系上の物体が縮み、そこにある時計は遅れてみえるようになる。光速不変は、光を伝える媒体が静止したエーテルだとするエーテル仮説では成り立たないが、それを1887年にA.A.マイケルソンとE.W.モーリー(ともに米国)が光の干渉実験で否定した後、1905年にA.アインシュタインがまとめた。この理論から、質量mがエネルギーEに変わることを示すE=mc^2の式も導かれた。

(尾関章 朝日新聞記者 / 2007年)

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百科事典マイペディアの解説

特殊相対性理論【とくしゅそうたいせいりろん】

アインシュタインが1905年に発表した現代物理学の基本的な理論体系。1.互いに等速直線運動をしている座標系(慣性座標系)ではすべての物理法則は同じ形で表される(特殊相対性原理),2.すべての慣性座標系に対し真空中の光速度は常に一定の値をもつ(光速度不変の原理)の2原理を基礎とする。
→関連項目エネルギー空孔理論光子ロケット光速度サイクロトロン時間(物理)質量質量保存の法則相対性理論ローレンツ収縮

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

特殊相対性理論
とくしゅそうたいせいりろん

1905年、アインシュタインにより発表された相対論。1915年に同じくアインシュタインにより提唱された一般相対性理論と区別するために「特殊」をつけるが、ただ「相対性理論」といえば特殊相対性理論をさす。この理論は、電磁気学の研究を通じてみいだされた時間・空間の性質に関する理論であり、現代物理学の根本原理の一つである。この理論は光速度一定と相対性原理の二つを基礎にみいだされたが、1908年、ミンコフスキー四次元空間の概念を導入して、この理論を完成した。運動を測る規準系の間における相対性原理とは、この四次元空間での回転変換に関する物理法則の不変性の要請である。考える変換運動が等速運動という特殊なものに限られるため「特殊」ということばがつけられている。特殊相対性理論は素粒子を記述する場の理論の基礎となり、質量エネルギー、スピン、反粒子、ゲージ理論などの概念を生み出した。[佐藤文隆]
『ウォルフガング・リンドラ著、小沢清智・熊野洋訳『特殊相対性理論』(1989・地人書館) ▽S・ギビリスコ著、小島英夫訳『図説 アインシュタインの相対性理論――特殊および一般相対性理論と宇宙論』(1989・大竹出版) ▽エル・ヤ・シュテインマン著、水戸厳訳『空間と時間の物理学』新装版(1989・東京図書) ▽木村利栄・太田忠之著『古典および量子重力理論』(1989・マグロウヒル出版) ▽冨田憲二著『相対性理論』(1990・丸善) ▽アルバート・アインシュタイン著、金子務訳『特殊および一般相対性理論について』(1991・白揚社) ▽マーティン・ガードナー著、金子務訳『相対性理論が驚異的によくわかる』改訂新版(1992・白揚社) ▽砂川重信著『相対性理論の考え方』(1993・岩波書店) ▽エルンスト・カッシーラー著、山本義隆訳・解説『アインシュタインの相対性理論』改訂新装版(1996・河出書房新社) ▽松田卓也・二間瀬敏史著『なっとくする相対性理論』(1996・講談社) ▽小玉英雄著『相対性理論』(1997・培風館) ▽山下芳樹著『対話形式 相対論への探究――知的文化遺産として』(2000・コロナ社) ▽窪田高弘・佐々木隆著『相対性理論』(2001・裳華房) ▽佐藤勝彦監修『図解 相対性理論がみるみるわかる本』(2003・PHP研究所) ▽A・アインシュタイン著、内山龍雄訳『相対性理論』(岩波文庫)』

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世界大百科事典内の特殊相対性理論の言及

【アインシュタイン】より

…そこに7年間勤めたが,しごとの合間に行った理論物理学の研究は,20世紀物理学の基礎を築くことになった。すでに1901年から熱力学および統計力学に関する論文を発表していたが,05年に光量子仮説,ブラウン運動の理論,特殊相対性理論という,根本的かつ革命的理論を立続けに提出したのである。そのため,この年は〈奇跡の年〉といわれる。…

【相対性理論】より

…これがアインシュタインをして現代でももっとも魅力ある物理学者の一人たらしめている原因であろう。ここではまず座標変換,慣性系など,相対性理論の理解のための予備知識の説明から始め,次いで特殊相対性理論,一般相対性理論について概説したい。アインシュタイン
【運動の相対性と座標変換】
 およそ運動とは,すべて,〈何か〉に対する運動として記述される。…

※「特殊相対性理論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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