1905年、アインシュタインにより発表された相対論。1915年に同じくアインシュタインにより提唱された一般相対性理論と区別するために「特殊」をつけるが、ただ「相対性理論」といえば特殊相対性理論をさす。この理論は、電磁気学の研究を通じてみいだされた時間・空間の性質に関する理論であり、現代物理学の根本原理の一つである。この理論は光速度一定と相対性原理の二つを基礎にみいだされたが、1908年、ミンコフスキーが四次元空間の概念を導入して、この理論を完成した。運動を測る規準系の間における相対性原理とは、この四次元空間での回転変換に関する物理法則の不変性の要請である。考える変換運動が等速運動という特殊なものに限られるため「特殊」ということばがつけられている。特殊相対性理論は素粒子を記述する場の理論の基礎となり、質量エネルギー、スピン、反粒子、ゲージ理論などの概念を生み出した。
[佐藤文隆]
『ウォルフガング・リンドラ著、小沢清智・熊野洋訳『特殊相対性理論』(1989・地人書館)』▽『S・ギビリスコ著、小島英夫訳『図説 アインシュタインの相対性理論――特殊および一般相対性理論と宇宙論』(1989・大竹出版)』▽『エル・ヤ・シュテインマン著、水戸厳訳『空間と時間の物理学』新装版(1989・東京図書)』▽『木村利栄・太田忠之著『古典および量子重力理論』(1989・マグロウヒル出版)』▽『冨田憲二著『相対性理論』(1990・丸善)』▽『アルバート・アインシュタイン著、金子務訳『特殊および一般相対性理論について』(1991・白揚社)』▽『マーティン・ガードナー著、金子務訳『相対性理論が驚異的によくわかる』改訂新版(1992・白揚社)』▽『砂川重信著『相対性理論の考え方』(1993・岩波書店)』▽『エルンスト・カッシーラー著、山本義隆訳・解説『アインシュタインの相対性理論』改訂新装版(1996・河出書房新社)』▽『松田卓也・二間瀬敏史著『なっとくする相対性理論』(1996・講談社)』▽『小玉英雄著『相対性理論』(1997・培風館)』▽『山下芳樹著『対話形式 相対論への探究――知的文化遺産として』(2000・コロナ社)』▽『窪田高弘・佐々木隆著『相対性理論』(2001・裳華房)』▽『佐藤勝彦監修『図解 相対性理論がみるみるわかる本』(2003・PHP研究所)』▽『A・アインシュタイン著、内山龍雄訳『相対性理論』(岩波文庫)』
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(尾関章 朝日新聞記者 / 2007年)
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…そこに7年間勤めたが,しごとの合間に行った理論物理学の研究は,20世紀物理学の基礎を築くことになった。すでに1901年から熱力学および統計力学に関する論文を発表していたが,05年に光量子仮説,ブラウン運動の理論,特殊相対性理論という,根本的かつ革命的理論を立続けに提出したのである。そのため,この年は〈奇跡の年〉といわれる。…
…これがアインシュタインをして現代でももっとも魅力ある物理学者の一人たらしめている原因であろう。ここではまず座標変換,慣性系など,相対性理論の理解のための予備知識の説明から始め,次いで特殊相対性理論,一般相対性理論について概説したい。アインシュタイン
【運動の相対性と座標変換】
およそ運動とは,すべて,〈何か〉に対する運動として記述される。…
※「特殊相対性理論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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