金属の塑性変形,加工硬化,降伏現象,結晶成長などの諸物性を,転位論の立場から解明する学問領域。 1920年代の A. A.グリフィスの理論に示唆され,30年代 G. I.テーラー,E.オローワン,M.ポラニらによって基本概念が提出され,以後非常な進展をみた。転位の動きだけでなく,その交切相互作用による原子空孔や積層欠陥,不動転位の形成,ひげ結晶の生成,G-P帯形成による時効効果,金属の凝固,相転移,熱処理の根本など,その理論は非常に広範にわたっている。 60年以後超高圧電子顕微鏡が開発されて以来,転位の運動を実際に観察できるようになり,従来仮説とされていた諸理論が次々に実証され,その進展はめざましいものがある。