日本大百科全書(ニッポニカ) 「鉤づめ」の意味・わかりやすい解説
鉤づめ
かぎづめ
claw
動物がもつつめのうち、もっとも普通にみかける鉤形をしたつめで、有蹄(ゆうてい)類(ひづめをもつ)と霊長類(平(ひら)づめをもつ)以外の哺乳(ほにゅう)類、爬虫(はちゅう)類、鳥類にみられる。つめの横断面をみると、つめの大部分を占める爪壁(そうへき)が逆U字状に曲がって指骨の端節(末節)を上と横から覆い、その下を爪底がふさいで、指骨端節の先半部を完全に包んでいる。横からみると、つめは鉤形に湾曲し、先端は普通鋭くとがる。鉤づめは指端を保護し、走行や木登りなどの運動を助ける道具として発達したものと思われるが、モグラやハリモグラではシャベル状に変化して土を掘る道具に、ネコ類などでは鋭く曲がって獲物を捕まえる武器に、キツネザル類では一部のつめが毛すき専用の道具に変化している。つめに力をかけるモグラでは、指骨の先端がまたになっていて鉤づめを支え、ネコ、イヌなどの食肉類では指骨端節の基部が広がって鞘(さや)状の構造になり、鉤づめの基部をしっかり支えている。
[今泉吉典]