改訂新版 世界大百科事典 「銀河磁場」の意味・わかりやすい解説
銀河磁場 (ぎんがじば)
galactic magnetic field
銀河系全体を渦状につらぬく大きなスケールの磁場と,乱流状態にある星間ガスに凍結した不規則な磁場がある。大きなスケールの磁場は太陽付近でははくちょう座腕にそって銀経80°,銀緯0°の方向に走っており,強さは3×10⁻6ガウス。磁力線の向きは隣どうしの渦状腕で反転しており,銀河系全体でみると,磁力線が1本の腕から流れこみ,他方の腕から流れ出すような渦巻形をしている。不規則な磁場成分はスケール300光年くらいの乱流状態にあると考えられ,強さはやはり3×10⁻6ガウス程度。これらの磁場構造は宇宙線電子と磁場の相互作用で発せられるシンクロトロン銀河電波放射,パルサーや銀河系外電波源の直線偏光電波のファラデー回転,星の光の偏光などの観測によって調べられる。渦巻状の磁場構造はわれわれの銀河系のほかM33,M51などいくつかの渦状銀河について知られているが,アンドロメダ銀河のように円環状の磁場をもつ例もある。楕円銀河のように星間ガスの希薄な銀河では磁場は検出されていない。
→宇宙磁場
執筆者:祖父江 義明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報