化学辞典 第2版 「錯体触媒」の解説
錯体触媒
サクタイショクバイ
complex compound catalyst
金属あるいは金属類似元素の原子やイオンを中心として,単座または多座配位子が結合した化合物,すなわち錯体の触媒作用を利用した触媒.コバルトのシアノ錯イオン [Co(CN)5]3- が水素を吸収して [Co(CN)5H]3- となり,水溶液中でオレフィンの水素化に触媒作用を示すのはその例である.中心原子と配位子の組合せによって,水素化以外に脱水素,酸化,低重合,カルボニル化,不斉還元など種々の反応の触媒として作用するものが多く知られている.その作用機構は,反応系分子の配位とそれに続く反応が,固体触媒における吸着と表面反応に対応するものとして理解される.錯体触媒の作用は固体触媒に比べて,より選択的であることが多い.[別用語参照]クラスター触媒
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報