鎧通し(読み)よろいどおし

日本大百科全書(ニッポニカ)「鎧通し」の解説

鎧通し
よろいどおし

太刀(たち)に差し添えて、軍陣に携帯した短刀の一形式。古いものではなく、室町末期に出現した。分厚く、鋭利で、反りがなく、突き刺し、掻(か)き切るのにくふうされた短刀で、長さは9寸5分(28.5センチメートル)程度という。瞬時の操作に便利なように馬手(めて)(右手)の前脇(まえわき)に差し添えたので「馬手差(めてざ)し」ともいう。1507年(永正4)作製の「細川澄元(すみもと)出陣影」には、馬手の上帯に差した、柄巻(つかまき)して小さな(つば)で反角(かえりづの)のついた鞘(さや)に反りのない拵(こしらえ)の通し佩用(はいよう)の姿が描かれていて貴重である。また別に(やじり)の一種で、柳葉(やないば)形の鏃を幅広く角張らせた形式をも称す。

[齋藤愼一]

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デジタル大辞泉「鎧通し」の解説

よろい‐どおし〔よろひどほし〕【×鎧通し】

戦場で組み打ちの際、鎧を通して相手を刺すために用いた分厚くて鋭利な短剣。反りがほとんどなく長さ9寸5分(約29センチ)。馬手差(めてざ)し。
鏃(やじり)の一。太く鋭いもの。

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世界大百科事典内の鎧通しの言及

【日本刀】より

…刀と同じ様式で長さの短い脇指も作られた。短刀は前代の流れをくむ寸延び幅広の反りのつくものと,寸がぐんと短く内反りで重ねの厚い鎧通し(よろいどおし)と呼ばれるものがおこなわれた。刃文は互の目が圧倒的に多く,大互の目の中にさらに小さい互の目を重ねるものや,関の三本杉などが考案された。…

※「鎧通し」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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