短刀
たんとう
身の短い(30センチメートル未満)、片刃または左右不均斉な両刃の刀剣。かつては寸法を限定せず、単に刀(かたな)と称した時期が長く、古文献にも短刀の名称はあまりみられない。腰刀(こしがたな)、小(ちい)さ刀(がたな)、鞘巻(さやまき)、隠剣(いんけん)、懐刀(ふところがたな)などとよばれる寸法の短い刀が短刀に属する。これらの刀身には、棟(むね)から刃先にかけての面が平らな「平造(ひらづくり)」や、剣と異なり左右不均斉な両刃(もろは)造り込みの「両刃造」、また茎(なかご)から切先(きっさき)にかけて稜線(りょうせん)をつけ菖蒲(しょうぶ)の葉に似せた「菖蒲造」などの形があるほか、「鵜(う)の首造」「おそらく造」「片切刃造」などもみられる。なお、短刀は俗に「合口(あいくち)」ともよばれているが、合口とは拵(こしらえ)に対する呼称なので、短刀の正しい用語ではない。ちなみに調理具や文具などの日用品は刀子(とうす)とよび、短刀と区別している。
[小笠原信夫]
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たん‐とう ‥タウ【短刀】
〘名〙
※刀剣記‐上(古事類苑・兵事三〇)「短刀を耳くぢりと唱候事、古くより有レ之候哉」 〔南史‐侯景伝〕
② 刀身の長さが一尺以下の刀の総称。俗に
九寸五分ともいう。用途から
刺刀(さすが)、拵えからは合口
(あいくち)・鞘巻
(さやまき)、所持のしかたからは腰刀
(こしがたな)・
懐剣などという。〔
壒嚢鈔(1445‐46)〕
みじか‐がたな【短刀】
〘名〙 刀身の短い刀。たんとう。
※北条五代記(1641)二「みしか刀の柄を赤き糸にて捲くもあり」
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短刀【たんとう】
日本刀の一種で,長さが1尺以下のものをいう。江戸時代以降の名称で,古くは〈かたな〉または〈腰刀〉といった。鎌倉中期以後の作が多く,山城の粟田口(あわたぐち)吉光,相州の新藤五(しんとうご)国光が鎌倉時代の代表的名工。
→関連項目合口|日本刀
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デジタル大辞泉
「短刀」の意味・読み・例文・類語
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短刀
たんとう
刀身の長さが約 30cm以下のものを,江戸時代以降短刀と呼ぶようになった。古くは刀子 (とうす) ,刺刀 (さすが) ,小刀 (かたな) ,腰刀 (こしがたな) とも称した。 (→刀 )
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普及版 字通
「短刀」の読み・字形・画数・意味
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世界大百科事典内の短刀の言及
【青銅器】より
…
【ヨーロッパ,オリエント】
東アジアの青銅器が祭祀具として発達したのにひきかえ,ヨーロッパや西アジアの青銅器は実用品が多い。銅や青銅などの初期の金属は,石にかわって斧,手斧(ちような),剣,短刀などの利器の素材として利用されたところから,銅器時代や青銅器時代を設定する根拠となった。青銅器時代の開始を,一般には前3000年前後に設定しているが,厳密にはこの年代の青銅器は知られていない。…
【日本刀】より
…剣の場合は長さは切先から区までの距離,また,左右相称形なので反りはない。〈太刀(たち)〉〈刀〉〈脇指(わきざし)〉〈短刀〉などの種別は上記の長さの相違によっている。すなわち長さが2尺以上あるのが太刀と刀,1尺以下のものが短刀,その中間のものが脇指である。…
※「短刀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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