朝日日本歴史人物事典 「長義」の解説
長義
南北朝時代の備前(岡山県)長船の刀工。「ながよし」と読むべきであるが,長吉と名乗る刀工が他にいるため「ちょうぎ」と呼びならわしている。作品にみる年紀は文和1(1352)年から康暦2(1380)年にわたる。同時期の長船刀工には正系の兼光がいるが,それとは作風が相違し,沸のついた大互の目や湾れの刃文を焼き,また年号も兼光が北朝年号を記すのに対し,長義には南朝年号を用いることがあって,系統を異にする派とみられている。江戸時代の刀剣書が相州正宗の弟子とするように作風に相州物の影響が認められるが,年代的には合わない。一門に兄長重をはじめ長守,兼長らがいる。<参考文献>加島進「中世における長船刀工について」(『東京国立博物館紀要』6号)
(原田一敏)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報