阿波の土柱(読み)あわのどちゅう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「阿波の土柱」の意味・わかりやすい解説

阿波の土柱
あわのどちゅう

徳島県北部、阿波市阿波町の吉野川北岸に立地する奇勝。1934年(昭和9)国指定天然記念物になった。砂礫(されき)の層が雨水の差別侵食を受けて柱状に残ったもので、上層土柱層は扇状地堆積(たいせき)物、下部は沼沢地の堆積物からなる。約100の土柱が林立し、最大のものは千帽子(せんぼうし)山の波濤岳(はとうだけ)で、高さ18メートル、周囲15メートルに及ぶ。1967年に土柱高越(こうつ)県立自然公園となった。

[高木秀樹]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の阿波の土柱の言及

【阿波[町]】より

…工業も盛んで,ゴム製品,敷物,電気製品などの工場がある。曾江谷扇状地には天然記念物の〈阿波の土柱〉(土柱)があり,周辺は自然休養村に指定され,土柱休養村温泉(硫黄泉,42℃)などがある。【赤池 享一】。…

【徳島[県]】より

…讃岐山脈は浸食されやすい和泉砂岩層からなる平均標高500mほどの山脈で,吉野川に面した南麓に典型的な扇状地や段丘を形成する。天然記念物の〈阿波の土柱〉は,この土砂の堆積物が浸食をうけて形成された地形である。四国,剣,海部の3山地は,讃岐山脈に比較するといずれも標高1000~2000mの高峻な壮年期の地形を示す。…

【土柱】より

…アルプス山地のチロル地方では,氷河性堆積物の砂礫層に生じたものが有名である。日本では徳島県阿波町のものが阿波の土柱(天然記念物)として知られている。扇状地性堆積物の更新統砂礫層が浸食されて形成されたものである。…

※「阿波の土柱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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