未固結な堆積物が雨水に浸食されたときに,その一部が柱状に残されて形成された地形。土柱の最上部には一般に大きな礫がのっているが,根がよく発達した灌木があることもある。これは礫や灌木の根がそこより下部の堆積物を浸食から守り,柱状に残すためである。雨裂やバッドランドの地形が発達する地域に生ずることが多く,雨水による急速な浸食が形成営力となる。アルプス山地のチロル地方では,氷河性堆積物の砂礫層に生じたものが有名である。日本では徳島県阿波町のものが阿波の土柱(天然記念物)として知られている。扇状地性堆積物の更新統砂礫層が浸食されて形成されたものである。造成中の宅地や畑地では強い驟雨の後に,地表面に粗粒物質があるところだけが残されて,高さ数cmのミニ土柱が形成されることがある。
執筆者:松田 磐余
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まだ十分に固結していない砂礫(されき)層がおもに雨食を受けて生ずる土の柱。柱の頂には石がのっていて、これが下の柔らかい土の部分を保護し、周囲の雨食によって削り取られた部分に比べて突出した形になる。小規模なものは、道路の切り割りなどでもたびたびみかける。大規模な土柱の例としては徳島県阿波(あわ)市阿波の「阿波の土柱」(国指定天然記念物)が有名で、更新統の砂礫層が選択侵食を受けて、無数の土柱が林立している。世界的に有名な例はオーストリアのチロル地方にあり、氷河によって運ばれた更新統の砂礫層が侵食を受けてできたもので、高さが100メートルに達するものがある。大きな石のかわりに硬い地層が柔らかい地層の上にのっているときにも生ずる。
[髙山茂美]
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…また表土は脆弱だが浅い所に不透水性の土層や岩石があり,そのため雨水は浸透を妨げられ流去水が多くなる場所におこりやすい。雨滴浸食や細流浸食は段丘砂礫層や氷河堆積物に作用すると,礫を頭に載せた土柱を残して軟弱な岩体を刻み,土柱群からなる悪地地形(バッドランド)をつくる。ガリー浸食の結果生ずる雨裂は,ふつうは幅,深さともに数mで,延長は数km程度だが,必ずしも一定しない。…
※「土柱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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