陣が峯城跡(読み)じんがみねじょうあと

国指定史跡ガイド 「陣が峯城跡」の解説

じんがみねじょうあと【陣が峯城跡】


福島県河沼郡会津坂下(あいづばんげ)町宇内五目にある平安時代末期の城館跡。会津盆地北西部に位置する。城跡は盆地を一望する台地縁辺に立地する。2002年(平成14)から3ヵ年にわたり内容確認のための発掘調査を行った。城跡は平面台形状で、内部は東西約110m、南北約175m。段丘崖になっているところ以外は2重に堀をめぐらしている。12世紀の城館遺跡は類例がきわめて乏しく、立地と2重の堀をめぐらす構造は、同時期の柳之御所遺跡(奥州藤原氏の平泉館とされている)と共通し、会津地方における有力な政治的拠点と考えられている。会津藩が1809年(文化6)に編纂した『新編会津風土記』に、陣が峯城は越後豪族、城(じょう)四郎長茂が築城した二十八館のうちの一つであることなどが書かれている。地元ではこれを「ジョウノシロ」と呼んでおり、背景の資料から伝承どおり城氏に関係している可能性もある。また、この近辺には、雷神山経塚や薬王寺遺跡、前九年の役(1051~62年)に際して勧請されたという新宮熊野神社など、平安時代末期にさかのぼる文化財が多く、城を取り巻く地域の状況を推定する材料も多い。2007年(平成19)、国指定史跡となった。JR只見線塔寺駅から車で約12分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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