平泉館(読み)ひらいずみのたち

日本歴史地名大系 「平泉館」の解説

平泉館
ひらいずみのたち

平安末期、藤原氏の平泉政庁とみられる平泉第一の館。北上川西岸の柳の御所やなぎのごしよの地に比定されるが未詳。「吾妻鏡」文治五年(一一八九)九月一七日条所収の寺塔已下注文に「一、館事秀衡 金色堂正方、並于無量光院之北、構宿館号平泉館、西木戸有嫡子国衡家、同四男隆衡宅相並之、三男忠衡家者、在于泉屋之東、無量光院東門構一郭号加羅御所、秀衡常居所也、泰衡相継之為居所焉」とあり、同書同三年一〇月二九日条に「今日、秀衡入道於陸奥国平泉館卒去」とある。秀衡の私邸とされる伽羅きやら御所に先立って記され、しかも平泉の精神的中心といえる中尊寺金色こんじき堂の「正方」とあるところをみれば、平泉館の特別な性格がうかがわれる。昭和六三年(一九八八)の一関遊水池建設計画に伴う柳御所遺跡発掘調査によって、高館たかだて橋の南方南端を限る大きな堀跡と橋跡が検出され、数多くの掘立柱建物跡や出土したおびただしい量のかわらけや中国陶磁などの遺物から一二世紀の館跡であることが判明。高舘たかだちから南東に北上川沿いに延びる柳御所遺跡が前掲注文にみえる平泉館であるとする説が有力になっている。清衡当初からあった館と推定されるが、秀衡が鎮守府将軍陸奥守になったため、平泉館が政庁的役割を帯びることになり、秀衡は新たに私邸として伽羅御所を造営したものとみられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

百科事典マイペディア 「平泉館」の意味・わかりやすい解説

平泉館【ひらいずみのたち】

柳之御所跡

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