難後拾遺(読み)ナンゴシュウイ

デジタル大辞泉 「難後拾遺」の意味・読み・例文・類語

なんごしゅうい〔ナンゴシフヰ〕【難後拾遺】

源経信歌論書。全1巻。応徳3年(1086)頃の成立とみられる。後拾遺和歌集の84首を抜粋して批判したもので、勅撰集に対する最初の論難書。

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精選版 日本国語大辞典 「難後拾遺」の意味・読み・例文・類語

なんごしゅういナンゴシフヰ【難後拾遺】

  1. 平安後期の歌論書。一巻。源経信(つねのぶ)著。「後拾遺集」から発想表現の面から問題のある歌を抜き出し批判した論難書。経信の歌論を示すものであるとともに、勅撰集に対する最初の論難書として注目すべきもの。

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世界大百科事典(旧版)内の難後拾遺の言及

【後拾遺和歌集】より

…伝統的な発想や表現をうけながら,新しい言葉を機知的に用いようとする新風への意欲がみられる。通俊以上に撰者の資格があると評された当代の代表歌人源経信(つねのぶ)は,勅撰集に対するはじめての批判である《難後拾遺》を書いて反駁し,やすきについて的確な表現の乏しくなったことを非難した。【藤岡 忠美】。…

【藤原通俊】より

…1086年(応徳3)白河天皇の勅命により《後拾遺和歌集》を撰集して奏覧した。当時の歌界に重きをなした源経信,大江匡房をさしおいての撰者任命は,天皇の近臣ゆえのにおいもあって非難を浴び,源経信《難後拾遺》によって通俊の撰集は低く評価された。経信への答えは《後拾遺問答》にうかがわれるが,通俊の立場は機知的なおもしろさを志向する新風の主張にあって,経信の求める格調の高さと異なるものであった。…

【源経信】より

…和歌のあり方として典雅な声調美と情趣ある趣向を求め,歌作は客観的叙景歌の観照によいものがある。藤原通俊の撰進した《後拾遺和歌集》を低く評価し,《難後拾遺》を書いて論難した。家集に他撰の《大納言経信集》,日記に漢文体の《帥記(そちき)》がある。…

※「難後拾遺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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