改訂新版 世界大百科事典 「難燃繊維」の意味・わかりやすい解説
難燃繊維 (なんねんせんい)
flame-retarded fiber
燃えやすい繊維としては綿やレーヨンのような植物繊維,およびポリプロピレン,アクリル,ポリエステルがあり,これらは着火すると短時間で燃えつきる。これに対して,燃えにくい繊維である難燃繊維は炎が当たっている間は燃えるが,炎から離すと自然に消火する性質をもっている。羊毛は自然に消火する性質があるので,準難燃性に分類される。塩素を分子内に有する塩化ビニル,ポリクラール(塩化ビニルとビニルアルコールの共重合体),およびモダクリルは半溶融状態で燃焼する難燃繊維である。最近,易燃性繊維の難燃化が盛んになり,難燃加工綿,難燃レーヨン,難燃エステル,難燃ナイロン,難燃アセテートが作られている。難燃加工法としては,(1)化学繊維原料に難燃剤を加えて紡糸する方法,(2)難燃薬剤で織物を処理する方法,などがある。セルロース系繊維の難燃化処理として,アンチモンやチタンの酸化物を化学結合する方法がある。これはカーテンなどのインテリアを中心に使われる。
→防火加工
執筆者:瓜生 敏之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報