雲井坂(読み)くもいざか

日本歴史地名大系 「雲井坂」の解説

雲井坂
くもいざか

[現在地名]奈良市押上町・油留木町・登大路

押上おしあげ町南の東大寺門外で、興福寺築地の東側にある大路(平城京の東京極大路)小坂で、古来、交通の要所であった。南都八景の一に「雲井坂雨」がある。「奈良坊目拙解」に「自手掻通北方臨於南方坂上ヲ時者、如望於岡岳、而興福、東大二寺甍在左右叢林之裏、而横大鳥居山林於南面、寔列坂岳於雲端、可謂如登于雲井ニ、於是称雲井坂而已矣」とある。

「大乗院雑事記」の康正三年(一四五七)九月条に「昔女院御下向ニハ、東大・興福両寺ノ大衆、雲井坂ニテ延年ヲ令沙汰き、女房ノ御前ニテ無其例之由申条、比興ノ次第ナリ」とあり、文明一二年(一四八〇)一一月の条には、京中ならびに辺りの土民数百人が寄来ったため、学侶から大乗院門跡に「観禅院早鐘鳴者、門跡衆并御坊人可罷出之由可有下知云々、一乗院殿ヘハ雲井坂辺ニ可被出之云々」という書状が出されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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