零れ懸る(読み)コボレカカル

デジタル大辞泉 「零れ懸る」の意味・読み・例文・類語

こぼれ‐かか・る【零れ懸(か)る】

[動ラ五(四)]
こぼれそうになる。「コップの水が―・るほど、ひどく揺れた」
髪などが垂れかかる。
「御額の髪、ゆらゆらと―・り給へる」〈狭衣・一〉
こぼれ落ちて、物にふりかかる。
「御顔にはらはらと―・りける御なみだを」〈太平記一二

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精選版 日本国語大辞典 「零れ懸る」の意味・読み・例文・類語

こぼれ‐かか・る【零懸】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. 髪などが乱れ落ちて物の上にたれかかる。
    1. [初出の実例]「女房などの、髪うるはしう、こぼれかかりて」(出典:枕草子(10C終)八三)
  3. 液体粒状のものなどがこぼれ落ちて、物の上にふりかかる。
    1. [初出の実例]「御顔にはらはらとこぼれ懸りける御泪を」(出典:太平記(14C後)一二)
  4. 表情態度などにあふれるように現われ出る。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    1. [初出の実例]「女をなずます目元の塩と、こぼれかかりしなりふりに」(出典:浄瑠璃・近江源氏先陣館(1769)九)
  5. あふれるほどに多くの人がよりかかる。
    1. [初出の実例]「つぼねを始腰元、はした、こぼれかかり乗かかり、のぞき、ささやき」(出典:浄瑠璃・日本振袖始(1718)一)
  6. ( 「かかる」は、…し始める、…しそうになるの意 ) 出産しかける。分娩しそうになる。
    1. [初出の実例]「お前方もこぼれかかった者を連れて旅するとは大胆な、ドレわしがお腹を見てやろと」(出典:浄瑠璃・奥州安達原(1762)四)

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