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表情 ひょうじょうfacial expression

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

表情
ひょうじょう
facial expression

情動に応じて身体各部に表出される変化を表情といい,特に顔面に表出される変化を顔の表情という。通常,間の場合,顔の表情を意味することが多い。 C.R.ダーウィンは表情の生物学的意義を重視して,『人間と動物の表情』 The Expression of the Emotions in Man and Animals (1872) と題する著書のなかで,それを3つの原理によって説明した。すなわち,(1) 習慣連合の原理 (習慣化したもの) ,(2) 反対の原理 (反対の状況は反対の表情を起す) ,(3) 神経系の性状の原理 (反射など神経系への直接作用) であるが,今日では反論も多い。一般に,表情は他者の感情や情動あるいはその意図や欲求を認知するうえでの手掛りの一つと考えられている。しかし,人間の顔の表情判断に関する研究をみると,表情写真を見せてどのような情動が表出されているか判断させてみても,的中率はそれほど高いとはいえない。顔面の表情表出行動は文化的,社会的な枠のなかで形成されるものであり,具体的な場面から切り離された顔の表情だけから情動を推察することは,基本的な情動を除いてはむしろ困難であるといわれている。なお,表情判断の手掛りとなる顔の部分としては,眼,口,鼻などがあげられる。

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デジタル大辞泉の解説

ひょう‐じょう〔ヘウジヤウ〕【表情】

感情や情緒を顔つきや身振りに表すこと。また、その顔つきや身振り。「悲しげな表情」「表情がくもる」
「自分に向って何だか―しているような可憐な花」〈宮本伸子
一般に、状況・ようす。「全国各地の歳末の表情」「被災地の表情

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大辞林 第三版の解説

ひょうじょう【表情】

顔や身振りに表れた内部の感情・気分など。 「 -豊かな人」 「いかにも困ったという-」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

表情
ひょうじょう
expression

表出の一側面である感情の表出を、表情という。いいかえれば、ある感情状態が身体の上に惹起(じゃっき)するさまざまな変化の「現れ」の総体が表情である。しかし、一般に、変化が顕著に現れるのが顔面であることから、顔に現れる表情だけを意味する場合もあり、研究も顔の表情についてなされたものが多い。[細木照敏]

研究法

表情の研究はダーウィン(1809―82)に始まるといわれている。彼は進化論的な立場から、動物における表情の普遍性と、その起源を明らかにしようとした。人の表情は人と人との間のコミュニケーションや共感過程など、人間関係を支える重要な心理行動である。その研究法の一つは、人間が自然な生活場面やある特別な場面に置かれたときにみせる表情を写真や映画、VTRなどに記録し、記述、分析する方法である。もう一つは、上記のように記録した写真などを幾人かの人に見せ、どのような感情が現れているか判断させる方法である。これらの方法を用いて、表情と感情の関係や、人間が相手の表情を認知、あるいは理解する仕組みを明らかにしようとするのである。[細木照敏]

二つの考え方

表情に対する考え方には、二つの立場がある。さまざまな色の現れも、すべて色相、明度、彩度の程度によって分類されることはよく知られているが、多様な表情の現れも色と同じように、快―不快、拒否―注意、眠り―緊張の三つの互いに直交する座標軸上に位置づけることができる、とアメリカの心理学者シュロスバークはいっている。これに対し、程度の差はあれ、特定の感情に対応する特有の表情パターンがあるとする立場がある。この立場をとる同じくアメリカの心理学者エックマンらは、うれしさ、怒り、嫌悪、悲しみ、驚き、恐れといった基本的な感情を現す特有な表情があり、これらは表情を現す個人の国籍、文化を超えた共通な普遍性をもっている、と主張している。
 この最後の「表情の文化・社会的規定性」については、通常はむしろこの主張と逆に、表情は文化的・社会的影響を受けてしだいに民族や国民特有のものとして成立すると考えている研究者が多い。日本人は欧米人に比べ、表情が乏しいことがよく指摘される。前述のエックマンは、ある文化圏に所属する人は、その環境に特定する、こういう情況ではこうした表情をみせてはいけないというような表現規則を学習するため、表情表出が抑制されるのであって、基本的な感情表出のパターンは文化を超え共通であると説明している。いずれにしろ、表情を規定している要因は複雑である。[細木照敏]

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