改訂新版 世界大百科事典 「電波スパー」の意味・わかりやすい解説
電波スパー (でんぱスパー)
galactic radio spur
銀河面に垂直に峰状にのびている銀河電波の一部分のこと。電波支脈ともいう。われわれの銀河系を電波で見ると銀河面(天の川)が明るく,さらに銀河中心方向に強いピークをもち,おおむね凸レンズ形をしている。この電波分布に重なって高銀緯に達する電波強度の峰,電波スパーが無数に走っている。渦状腕にそって圧縮されるガスとともに星間磁場と宇宙線強度も強められ,腕にそってシンクロトロン電波放射が促進される。スパーは渦状腕にそった電波放射域を太陽から接線方向に見通すために現れる。またスパーの中には大きな円弧を描くものもあり,電波ループと呼ばれている。電波ループの代表的なものに銀経30°から北にのびるノースポーラースパーnorth polar spur,別名ループⅠがあるが,その成因は太陽のごく近くで発生した古い超新星の残骸であろうという見方もある。
執筆者:祖父江 義明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報