電磁ログ(読み)でんじろぐ(英語表記)electro-magnetic log

日本大百科全書(ニッポニカ) 「電磁ログ」の意味・わかりやすい解説

電磁ログ
でんじろぐ
electro-magnetic log

導体磁界直角に横切って移動するとき導体に電圧が誘起されるというファラデーの電磁誘導の法則を応用した船の速力計。速力検出部が水中を走ると、電極に誘導電圧が発生する。電圧をEボルト、電極間の距離をdセンチメートル、磁束密度Bガウス、流速をvセンチメートル毎秒とすると、
  E=dBv×10-8
である。検出部を船底に突出させて、発生する電圧を増幅して指示器に伝え速力を表示する。速力信号を時間積分すると航程が求められるので、速力計と航程計が一体になっているのが普通である。ログは重要な航海計器の一つで、船舶には装備が義務づけられているが、前・後進を問わず、微低速から高速まで精度のよい電磁ログが大半を占めている。

[飯島幸人]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の電磁ログの言及

【航海計器】より

…古くは船外に木片(ログlog)を投じて,これを基準にして速力を測ったことによる。現在のログには,船尾から曳航した回転翼の回転から航程を求める形式,船底にパイプを出しピトー管の原理で速力を測定する形式,水中に磁場を作り,流水(導体)がこれを横切るときに生ずる起電力から船の速力を求める電磁ログなどがあり,ドップラー効果を利用したドップラーソナーも使用されている。電磁ログおよびドップラーソナーは後進時にも速力の計測が可能であって,従来のログにはない特徴をもち,しかも精確に測定できる。…

【測程儀】より

…(2)流圧式測程儀 ピトー管を用いて流速による圧力を計測し,これを速力算定の基礎とするもので,サルログとして有名である。(3)電磁ログ 船底に突き出した受感部内のコイルに交流電流を流して磁場を発生させ,船の進行に伴って後方に移動する周辺の海水(導体)がこの磁場を横切るとき,電磁誘導の法則によって生ずる,海水の移動速度に比例した信号電圧を検出するもので,0.1ノット以下の低速力や後進速力も計測できる。(4)ドップラーソナー 船底から海底に向けて超音波を発射し,ドップラー効果を受けた反射波の周波数から船速や横方向の移動速度を計測するもの。…

※「電磁ログ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android