日本大百科全書(ニッポニカ) 「青方文書」の意味・わかりやすい解説
青方文書
あおかたもんじょ
肥前(ひぜん)国宇野御厨中通島(うののみくりやなかどおりじま)青方(長崎県南松浦(みなみまつうら)郡新上五島(しんかみごとう)町)を本拠とした鎌倉御家人(ごけにん)青方氏の文書。鎌倉時代初頭より近世初頭に及ぶ四百数十通が残存している。五島藩(福江藩)の家臣青方家に伝来していたが、現在は長崎県立図書館に所蔵。松浦(まつら)党関係文書として質量ともにもっとも優れた史料であるばかりでなく、中世漁業関係史料としても内容に富んだ史料である。とくに南北朝時代の国人一揆契諾(こくじんいっきけいだく)状が含まれていることで著名。青方家には、幕末に作成された家譜(かふ)2冊が所蔵されているが、そのなかの引用文書には、すでに原本が失われているものがある。『史料纂集(さんしゅう) 青方文書1、2』(1976・続群書類従完成会)として刊行されている。
[瀬野精一郎]