非人頭(読み)ひにんがしら

精選版 日本国語大辞典 「非人頭」の意味・読み・例文・類語

ひにん‐がしら【非人頭】

〘名〙 非人の取締りに当たった非人の長。江戸では弾左衛門の下に属し、車善七などがいた。大阪では長吏といった。
都鄙問答(1739)二「非人頭(ガシラ)とをぼしき者、団坐に座して有りけり」

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デジタル大辞泉 「非人頭」の意味・読み・例文・類語

ひにん‐がしら【非人頭】

非人1の取り締まりにあたった者。江戸では、弾左衛門だんざえもん配下に属した。

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世界大百科事典(旧版)内の非人頭の言及

【車善七】より

…江戸の浅草の非人頭(ひにんがしら)が代々襲名した名。そのはじまりについては,徳川氏のために磔刑に処せられた秋田藩家老の車丹波守の近親にあたる善七というものが家康の命をねらったが捕縛され,のちに助命されて非人頭の地位を得たとか,また1608年(慶長13)に江戸町奉行より非人頭を仰せつけられて,浅草の元鳥越(もととりごえ)に500坪の地を付与されたとかの諸説があり,さらには三河国(愛知県)渥美(あつみ)村出身の祖先が家康の江戸入り当時すでに浅草の大川端界隈に住んでいたとも伝えられているが,たしかなことはわかっていない。…

【非人】より

…もとは仏教からでた言葉で,鬼神・夜叉(やしや)など,人にあらざるものが人の姿形をかりて現れたものの意味であったが,別に,罪人・世捨人・僧,最下級の神人(じにん),乞食(こつじき)などをさす語として平安時代いらい普及し,江戸時代になってからは,賤民身分の一部をさす呼称として,公式に江戸幕府・諸藩で採用され定着した。 江戸時代に,いわゆる士農工商の諸身分の下に〈えた〉とともに賤民として位置づけられた非人は,親子代々の〈非人素性〉のものがその中心をなしたが,ほかに,犯罪や,心中の仕損じを理由として非人身分に落とされて〈非人頭(がしら)〉の配下に入れられた〈非人手下(てか)〉,生活困窮のため乞食浮浪の身となった〈無宿非人〉〈野非人(のびにん)〉があり,その内容はさまざまであった。彼らは江戸幕府のひざもとで,歴代,〈穢多頭(えたがしら)〉の地位にあった弾左衛門(だんざえもん)の統轄下に置かれたが,直接的には江戸浅草の車善七(くるまぜんしち)に代表されるような各地の非人頭,もしくは非人頭に該当する役職の者(たとえば,京都ではそれを悲田院年寄といっていた),さらには非人頭に属する多数の小屋頭たちの支配を受け,町外れや河原の非人村の小屋に住み,物乞い生活を基本としながら,大道芸,犯罪者の市中引廻し,処刑場での雑役などで,日々の暮しをたてていた。…

※「非人頭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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