にらさきがんせつなだれ
韮崎岩屑なだれ
Nirasaki debris avalanche
八ヶ岳火山の崩壊で更新世中期に生じた岩屑なだれ。南東麓の韮崎を経て甲府盆地下から富士川にまで達した。堆積物の層厚200m(+),到達距離48km(+),総容積10km3(+)で,国内最大,世界でも有数の規模をもつ。八ヶ岳南麓から韮崎にかけ釜無川と塩川沿いに七里岩しちりがいわなど急崖をもつ台地を形成し,流れ山地形が顕著。この堆積物に対して島田衛(1937)は韮崎泥流と命名,河内晋平(1961)が再定義。三村弘二ほか(1982)は自然残留磁気の分析から,この堆積物と流れ山を低温の乾いた流れによる堆積物であるとし,韮崎岩屑流と改称した。模式地は韮崎市穴山橋付近。最大径500m・比高80mの流れ山(甲府盆地第四紀研究グループ,1969)は八ヶ岳旧山体の一部が成層構造を保ったままの扁平な巨大岩塊(megablocks)を含む。自然残留磁化方位(三村弘二ほか,1982)はこれらが「コーヒーカップのように」回転し運ばれたことを示唆。巨大岩塊を包む基質部分(matrix facies)は無炭化の木片・球果を含み200℃以下で堆積。その細粒基質は正帯磁。現在の権現岳付近にあった火山体が崩壊したと推定されているが,崩壊カルデラは後の活動で埋め立てられてしまい確認できない。参考文献:三村弘二(1985) 月刊地球,Vol.7
執筆者:三村 弘二・井上 公夫・竹下 欣宏
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報
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