頸反射(読み)けいはんしゃ(英語表記)neck reflex

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「頸反射」の意味・わかりやすい解説

頸反射
けいはんしゃ
neck reflex

身体の姿勢や平衡保持のための反射の一つ。頭部を回転すると反射的に四肢に現れる筋緊張の変化をいう。たとえば去脳した犬の場合,頭部を約 90度回転すると,鼻の向った側の前後肢が強く伸展し,反対側の前後肢が屈曲する。この反射の受容器頸部靭帯関節などの深部受容器,中枢脊髄,効果器は四肢および体幹の筋肉である。頸反射は乳児,あるいは脳疾患の患者に著明にみられる病的反射と考えられていたが,健常な成人でも運動遂行時に出現するが,錐体路発達のため,はっきりと現れないことが多い。

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世界大百科事典(旧版)内の頸反射の言及

【運動】より

…これは屈曲反射で,一側の下肢が屈曲したとき,対側の下肢が伸展して体重を支え,身体の平衡を保つものである。全身の骨格筋に及ぶ反射として緊張性迷路反射と緊張性頸反射がある。緊張性頸反射では,首をねじると顔の向いた側の上下肢が伸展し,反対側の上下肢が屈曲する。…

【姿勢】より


[緊張性反射]
 (1)耳石から起こる反射 除脳したネコで,首を動かないように固定して,頭の位置を変えると,+45度のときに四肢の伸筋の緊張は最大となり,-135度のときに最小になる(これを耳石反射という)。(2)頸筋から起こる反射 除脳・迷路破壊のネコで,首を上下左右に曲げると,前肢は屈曲し後肢は伸展して,動物が食物を食べるときの形になる(これを頸反射という)。(3)足の裏から起こる反射 除脳ネコをあお向けにして,足の裏を押すと,その肢はますます硬直し,つっぱってくる。…

※「頸反射」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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