額田寺伽藍幷条里図(読み)ぬかたでらがらんならびにじょうりず

改訂新版 世界大百科事典 「額田寺伽藍幷条里図」の意味・わかりやすい解説

額田寺伽藍幷条里図 (ぬかたでらがらんならびにじょうりず)

額安寺(がくあんじ)に伝来,現在国立歴史民俗博物館所蔵。奈良末期の天平宝字年間(757-765),または少し後の作成。額安寺は当時額田寺といった。麻布平群(へぐり)郡の9,10条の3里19~36坪,4里1~24坪(里名〈額田里〉)の条里坪付を示し,それに朱・墨で額田寺の堂塔,雑舎,寺領田畠,岡,林,池,また〈法花寺庄〉〈公田〉〈中臣朝臣毛人畠〉〈日根連千虫家〉〈巨勢朝臣古万呂家・地〉〈調使□畠〉〈石柱〉等を記入したもの。図面には〈大和国印〉がおされている。寺地は10条3里35,36坪(東)から同条4里1,2,11,12坪(西)の地域を占め,その西半に金堂,塔,講堂僧房等の主要伽藍(建物図),東半に雑舎(位置図)が配されている。本図の地は,現奈良県大和郡山市額田部の一帯に当たる。奈良朝期の額田寺の規模・景観と平群郡の9,10条の各3,4里の所在を具体的に知りうる点,きわめて貴重な資料である。なお原図には多くの付箋がつけられている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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