古文書学の用語の一つ。疑問,覚書きなど必要なことを記して,一端にのりをつけ文書・書物にはりつける小紙片。なにも書かずに単に目印とすることもある。付け紙,貼り紙ともいうが,その場合は小片に限らない。また全面にのりを塗ってはりつけるものは押紙(おうし)といって区別する。別紙を用いずに本文の対応部分に直接書き入れる場合は〈書込み〉といい,これが本文上欄の余白にあれば頭注,下欄にあれば脚注というが,まとめて注記ともいう。また巻物では,裏面に注記をつけることが多いが,これを〈裏書〉といい,その巻物を折本(おりほん)などに仕立て直す場合に裏書を本文へ書き入れることを〈裏書分注〉という。古文書学をはじめとして,付箋やこれらの注記は,文書や書物の内容がどのように受け取られ,研究されてきたかを知るうえで重要な手がかりとなり,詳細な注解であればそれで一つのテキストとなる。
執筆者:竹上 深
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報
…それゆえ,懸紙という概念ははなはだ漠然としており,正確には封紙,包紙,礼紙という言葉を使ったほうがよい。【上島 有】 また文書に貼付(てんぷ)された付箋の一種で本文を増補・削除または訂正する目的をもった紙片をもいう。付箋は通常,紙片の一端にのりをつけて付すのに対し,紙片の上下にのりづけして固定する形式のものをとくに懸紙と称する。…
…下紙(さげがみ)ともいう。江戸時代の公文書に貼付された付箋の一種で,文書の下の周縁部にはり下げた紙片。下札の記載内容は種々であるが,はった上部の本文の記述についての訂正,意見,理由,補足説明などを記したものが多い。…
…江戸時代,公文書に貼付された付箋の一種で指令,意見,返答などを記すのに用いられた。付紙,張札とも称する。…
※「付箋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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