日本歴史地名大系 「風ノ森峠」の解説 風ノ森峠かぜのもりとうげ 奈良県:御所市風ノ森峠金剛山東南麓、大字鴨神(かもがみ)と大字東佐味(ひがしさび)との間にある標高約二八〇メートルの峠。大和・紀伊両国を結ぶ古代交通(中世以降、高野街道とよばれた)の要所で、葛城川(大和川支流)・宇智(うち)川(吉野川支流)の発源地にあたる。旧路絶頂に「風の森」があり、級長津彦(しなつひこ)・級長戸辺(しなとべ)を祀る小祠志那都比古(しなつひこ)神社がある。俗に「風の神」ともよばれる。竜田(たつた)大社(現生駒郡三郷町)が大和の西北の悪風を防ぐ神であるに対し、西南風の平穏を祈念した神社であると伝える。古代葛上郡西方、水越(みずこし)峠の扇状地は銅鐸文化を残したが、南方、風ノ森峠西南の傾斜地は宇智古墳群に近接し、立地上、「小葛城」的な文化圏(中世の佐味荘で江戸期の水野村・東佐味村・南佐味村・桜井村・神通寺村・福西村)を形成した。 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報 Sponserd by