西北(読み)セイホク

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

西北
せいほく / シーペイ

中国北西部の地区名。通常は陝西(せんせい/シャンシー)省、寧夏(ねいか/ニンシヤ)回族自治区、甘粛(かんしゅく/カンスー)省、青海省、新疆(しんきょう/シンチヤン)ウイグル自治区を総称し、中国の乾燥地域と半乾燥地域の大部分がこれに含まれる。自然地域からすると西北地区には黄土(こうど)高原の大部分とチベット高原の北東部の青海高原、チャイダム盆地、タリム盆地とジュンガル盆地ならびに崑崙(こんろん)山脈およびアルトゥン山脈の北斜面、祁連(きれん)山脈、天山(てんざん)山脈、アルタイ山脈の一部などが含まれる。チャイダム盆地、タリム盆地、ジュンガル盆地の中央部にはタクリマカン砂漠、グルバンチュンギュト砂漠など、無数の移動砂丘の存在する砂(すな)砂漠もあるが、甘粛省の河西回廊やタリム盆地、ジュンガル盆地の各周縁部にはゴビとよばれる礫(れき)に覆われた平坦(へいたん)な地表が存在し、古来東西交通路として利用されてきた。これがシルク・ロードとよばれるものである(一部には砂砂漠を越えねばならぬ場所もある)。このゴビの部分に周辺の高山から流出する雪解け水を利用したオアシスも存在し、農業地域を形成している。

 黄土高原は甘粛・陝西両省の大部分を占め、厚い黄土層に覆われているが、土壌侵食が激しく、水と土の流失防止、農地の段畑化に力が注がれている。地下資源は豊富で、石炭、石油、水力などエネルギー資源に富むほか、金昌(きんしょう)のニッケル、白銀の銅、鏡鉄山(きょうてつざん)の鉄をはじめ金属鉱床や塩、ソーダ類がきわめて豊富である。農業の分野でも高山の氷河や万年雪の融水を利用して農地が開かれ、小麦のほかワタやメロン、ブドウの生産が行われ、陝西省ではリンゴ栽培が急速に発展している。広大な草原ではヒツジ、ウシ、ウマ、ラクダの放牧が盛んである。古都西安(せいあん/シーアン)をはじめ蘭州(らんしゅう/ランチョウ)、ウルムチその他の都市の工業化も著しい。

[河野通博]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典の解説

せい‐ほく【西北】

〘名〙 (古くは「せいぼく」とも) 西と北との間の方角。いぬいの方角。さいほく。にしきた。北西。
※万葉(8C後)一八・四〇七七・題詞「答属目発一レ思兼詠云遷任旧宅西北隅桜樹
※謡曲・安宅(1516頃)「遼遠東南の雲を起こし、西北の雪霜に責められ埋もる憂き身を」 〔易経‐説卦〕

にし‐きた【西北】

〘名〙 西と北との中間の方角。乾(いぬい)の方角。せいほく。
※宇津保(970‐999頃)沖つ白浪「にしきたのすみ、らう中将のかた」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報