国指定史跡ガイド 「飛鳥寺跡」の解説
あすかでらあと【飛鳥寺跡】
奈良県高市郡明日香村飛鳥にある寺院跡。飛鳥川の右岸に位置し、法興寺または元興寺もしくは飛鳥寺と呼ばれ、その名は、『日本書紀』などにみえる。この寺は蘇我馬子(そがのうまこ)によって588年(崇峻天皇1)に発願され、596年(推古天皇4)に完成したことが知られている。発掘調査が1956年(昭和31)から翌年にかけて行われた結果、地下深く巨大な心礎を据えた塔を中心として、その北、東および西にそれぞれ中金堂、東金堂および西金堂のあったことが明らかとなり、中門とこれから派出してこれらの堂塔を囲む回廊や回廊外の講堂も検出された。回廊の外にある南門、西門も明らかにされ、南門前に石敷き参道とこれに続く石敷き広場も見出された。また、伽藍(がらん)の東南方、崖斜面に登り窯の跡があり、寺に関連するものと考えられる。この発掘によって、ほぼその全貌を現した日本最古の寺跡であり、飛鳥時代の象徴としての歴史的価値から、1966年(昭和41)に国の史跡に指定された。現在は安居院(あんごいん)と称し、飛鳥大仏を安置している。近畿日本鉄道橿原線ほか橿原神宮前からコミュニティバス「飛鳥大仏前」下車、徒歩すぐ。