食付(読み)くいつく

精選版 日本国語大辞典 「食付」の意味・読み・例文・類語

くい‐つ・く くひ‥【食付】

〘自カ五(四)〙
① かみつく。食らいつく。
※能因本枕(10C終)九三「いとをかしげなる猫の、〈略〉はかりの緒くひつきて引きありくも」
② しっかりと、とりつく。しがみつく。
浮世草子・好色五人女(1686)四「『かく身をひやせしは誰させけるぞ』と、首筋に喰つきける」
③ (魚が餌に食いつくところから転じて) 心をひかれて物事に手をだす。とびつく。
※杜詩続翠抄(1439頃)一「小人小利に目をかけ、此れにくいついてはなれじとするなりを看よ看よ」
相手文句を言って迫る。からむ。
※行人(1912‐13)〈夏目漱石塵労兄さんはさうなると只では済まされない男です。すぐ食ひ付いて来ます」

くらい‐つ・く くらひ‥【食付】

〘自カ五(四)〙
※漢書列伝景徐抄(1477‐1515)陳勝項籍第一「まづ上にくらいついたあぶをこそうたうずれ」
※雑俳・川柳評万句合‐宝暦一二(1762)義五「あのきゃんな所へ殿がくらい付」
多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前「今朝から言続(いひつづけ)にして君を怨むでゐるから、漫然(うっかり)飛込まうものなら啖(クラ)ひつかれる、用心をして行き給へ」

たべ‐つ・ける【食付】

〘他カ下一〙 たべつ・く 〘他カ下二〙
① 食べ慣れている。
※俳諧・類柑子(1707)中「たべつけぬなんひん餠を忍ぶらん〈朝叟〉 長汀はてのしれぬ小便嵐雪〉」
② 使い慣れている。習慣となっている。
談義本・艷道通鑑(1715)四「鴟の子の鷹とや、目本りりしくとりなり尖(しゃん)として、所に人の喰(タベ)つけぬ風俗

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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