香椎郷(読み)かしいごう

日本歴史地名大系 「香椎郷」の解説

香椎郷
かしいごう

和名抄」諸本とも文字の異同はなく、高山寺本・伊勢本・東急本・元和古活字本の訓「加須比」であるが、これは「加須也」の誤写で、郡名「糟屋」に付されるべきものと考えられる。ただし「和名抄」は当郷を「かすや」と訓じる立場であったとも理解できる。あるいは「須」のみが誤写で、本来は「かしひ」の読みを示した可能性もある。「筑紫風土記」逸文(万葉集註釈)が当郷に鎮座する「襲宮」について「襲は可紫比なり」とすることや、「古事記」仲哀天皇段の「筑紫の訶志比宮」などから「かしい」と読む。現福岡市東区香椎を中心とする地域に比定される。東区香椎四丁目に鎮座する香椎宮は、古くは香椎廟(樫日廟・樫日と称された。「筑紫の橿日宮」(「日本書紀」神功皇后摂政前紀・仲哀天皇九年二月条など)で没した仲哀天皇を祀ったのが起源とされ、そのため廟と称したと考えられるが、平安時代に入って神社化が進行し香椎宮と称された。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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