「香椎宮編年記」によれば、養老七年(七二三)二月六日の神功皇后の託宣により、神亀元年(七二四)一二月二〇日に創建されたというが、確実な初出史料は、同五年一一月に大宰帥大伴旅人・大弐小野老・豊前守宇努男人らが参拝した記事である(「万葉集」巻六)。承保四年(一〇七七)七月一七日の白河天皇宣命案(石清水文書/大日本古文書四―二)ならびに追記によれば、同年二月五日に当宮は焼亡し、同年七月一七日には五日間廃朝されたことが知られる。また永承七年(一〇五二)二月一二日には再び焼失し、大宰府管内諸国に造営が命じられた(石清水八幡宮記録)。
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福岡市東区に鎮座。祭神は神功皇后,または仲哀天皇といわれ諸説あるが,現在は仲哀天皇,神功皇后,相殿に応神天皇,住吉大神をまつる。旧官幣大社。社伝によると,仲哀天皇は神功皇后とともに熊襲を征する目的で筑紫橿日宮(かしいのみや)に行幸し,新羅を征すべき神教をうけたが,その地で没した。神功皇后がこの地に祠を建て天皇をまつったのが起りとされ,その後724年(神亀1)託宣により,祠の側に社殿を建てて皇后をまつってから香椎廟と称したという。《万葉集》巻六,神亀5年の条に大宰官人が〈香椎廟〉を拝したとある。《延喜式》の〈式部式〉には〈凡諸神宮司幷橿日廟司〉として神社と区別し,〈民部式〉には〈香椎宮〉とあるが〈守戸一烟〉として,山陵と同じに扱われている。そのため式内社に扱われなかったが,円融天皇のころに至り神社として扱われるようになった。737年(天平9)新羅の無礼を奉告する奉幣使が遣わされ,以後新羅と事あるごとに奉幣が行われた。平安時代以後には宇佐宮に準じて,即位・大嘗祭や変災・外寇などの事があれば奉幣使が遣わされ,宇佐・香椎使と併称したという。奉幣使は南北朝時代以後中絶したが,1744年(延享1)復興した。中世には武家の崇敬をうけ,足利尊氏は多々良浜の戦の前に祈願,社領を寄進し,のち豊臣秀吉が社領を没収した。1587年(天正15)小早川隆景は159石を,1683年(天和3)には黒田光之が30石,1744年には70石を加増した。1915年仲哀天皇を主祭神に加え,1924年には宇佐神宮とともに10年に一度勅使が参向することになった。社殿は1801年(享和1)黒田長順の造替で,香椎造と呼ばれる複雑な構造形式をそなえ,重要文化財に指定されている。社前の綾杉は新任の大宰府官人が葉を冠にさしたという。例祭は10月29日。
執筆者:中野 幡能
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福岡市東区香椎に鎮座。仲哀(ちゅうあい)天皇、神功(じんぐう)皇后を祀(まつ)り、応神(おうじん)天皇、住吉(すみよし)大神を配祀(はいし)する。神功皇后が、夫仲哀天皇の神霊を熊襲(くまそ)征討時の行宮(あんぐう)、橿日宮(かしいのみや)の地に祀ったのが創建とされる。同地は神功皇后の新羅(しらぎ)征討の議をなした所として有名で、同皇后の宮も聖武(しょうむ)天皇の724年(神亀1)に造営され、あわせて香椎廟(びょう)と称した。当宮は廟であり、一般神社とはその趣を異にしていたので、『延喜式(えんぎしき)』神名帳には加列されていない。『万葉集』巻6には香椎廟、『延喜式』にも橿日廟とみえるが、10世紀後半ころから神社として取り扱われるようになったと思われる。古来、朝廷の崇敬は厚く、宇佐神宮と並んで九州随一の待遇であった。即位、大嘗祭(だいじょうさい)などに際しても勅使が派遣され、幣を奉(たてまつ)るのを例とした。1871年(明治4)国幣中社となり、85年官幣大社に昇格。1924年(大正13)、10年に一度の勅使参向の治定があった。祭神の神功皇后は安産の神としても崇敬され、聖母大明神ともよばれた。社殿は香椎造といわれ、現在の本殿は1801年(享和1)福岡藩主黒田長順(ながより)が造替(ぞうたい)したもので、国の重要文化財に指定されている。境内には仲哀天皇の神廟古宮、摂社、末社も多くあり、シイの神木などが繁っている。例祭は10月29日。
[阪本是丸]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報
…松,杉,ヒノキなどの常緑樹が一般的だが,神社によって特定の神木がある。有名なものに,京都の伏見稲荷大社や奈良の大神神社の験(しるし)の杉,福岡の香椎宮の綾杉,太宰府天満宮の梅,北野天満宮の一夜松(ひとよまつ),滋賀の日吉大社の桂,熊野大社,伊豆山神社の梛(なぎ),新潟の弥彦神社の椎などがある。奈良春日大社の神木(榊に神鏡を斎(いわ)いつけたもの)は中世に何度か興福寺の衆徒が春日大明神の御正体と称して担ぎ出し,朝廷に強訴(ごうそ)する手段とされた。…
※「香椎宮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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