① バカガイ科の二枚貝。北海道から九州の潮間帯から水深二〇メートルまでの砂泥底に分布し、東京湾・伊勢湾に多い。殻長約八センチメートル。殻はハマグリ形で、やや横長。表面は黄褐色で輪脈があり、赤褐色の放射彩のあるものもある。殻から舌状の赤い足を出すところから、馬鹿者が舌を出している状態にたとえてこの名があるという。肉は柔らかく美味で、貝柱は小柱(こばしら)と呼ばれ特に美味。東京付近では「あおやぎ」と呼ぶ。また桜貝・姫貝と呼ばれる乾燥品もこの種類の製品である。くつわがい。みなとがい。かむりがい。《 季語・春 》 〔本朝食鑑(1697)〕