初等代数学では通常三次以上の代数方程式を高次方程式と呼ぶ。n次代数方程式はn個の根をもつ。四次以下の方程式はその係数から四則演算と根号n√ ̄を使うことによって根を求めることができる。五次以上の一般の方程式は,四則演算と根号を使うだけではその係数から根を求めることはできない。しかし,特別な形をした五次以上の方程式には,四則演算と根号を使って解くことができるものがある。ガロアの理論によれば,方程式のガロア群が可解群であることが四則演算と根号を使って解くことができるための必要十分条件である。
2x4+5x3+7x2+5x+2=0のように,n次方程式F(x)=a0xn+a1xn⁻1+a2xn⁻2+……+an-1x+an=0の係数の間に,ai=an-i(i=0,1,2,……,n)なる関係があるとき,この方程式を相反方程式と呼ぶ。nが奇数であれば,x=-1はF(x)の根であり,F(x)=(x+1)G(x)と因数分解でき,G(x)=0も相反方程式である。そこで次数nが偶数2mの相反方程式F(x)=0を考えよう。F(x)=0の両辺をxmで割ってt=x+1/xとおいて整理すると,m次方程式G(t)=b0tm+b1tm⁻1+……+bm=0が得られる。b0=a0,b1=a1-ma0,b2=a2-(m-1)a1+m(m-1)a0のように係数biはa0,……,aiを使って書き表すことができる。G(t)=0の根をt1,t2,……,tmとし,x+1/x=ti,すなわちx2-tix+1=0の根をsi1,si2とすると,F(x)=0の根はsi1,si2(i=1,2,……,m)である。したがってG(t)=0の根がわかればF(x)=0の根も求めることができる。
執筆者:上野 健爾
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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