高瀬(熊本県)(読み)たかせ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「高瀬(熊本県)」の意味・わかりやすい解説

高瀬(熊本県)
たかせ

熊本県北部、玉名市(たまな)の一地区。有明(ありあけ)海に注ぐ菊池川の河口から約8キロメートル遡上(そじょう)、繁根木(はねぎ)川との合流点にあり、玉名市街地形成の礎石となった旧河港町。南北朝時代に菊池一族が保田木城(ほたぎじょう)を築き、元(げん)・明(みん)、高麗(こうらい)・朝鮮(李朝(りちょう))と交易を行ってより、肥後の主要な河港として栄え、藩政時代には「肥後五か町」(熊本・川尻(かわしり)・高橋・八代(やつしろ)・高瀬)の一つとして、町奉行(まちぶぎょう)・御蔵(おくら)などが置かれ、一般在町とは異なった町造りがなされた。明治維新後も高瀬町区として、久しく玉名地方の政経文教の中心地であったが、河川交通の衰退、陸上交通の再編、さらに市町村合併などによる中心地の移動で、現在では、その中心市街地としての性格が薄れている。

[山口守人]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例